Wednesday, July 20, 2016

トランプと日本

English Version: Why Trump Could be Good for Japan

トランプが日本に好都合であり得る理由

東京ーーーヒラリー・クリントンのカリフォルニアでのバーニー・サンダースに対する決定的な勝利に伴い、11月の大統領選における戦いはほぼ明白になった。党大会二者の土壇場での狂乱がないとするなら、トランプ対クリントンと見られる。1年前には殆ど誰もこの組み合わせを想像もしなかったのに、この有様だ。おそらくはオーランドのナイト・クラブでの銃撃に際するトランプの無神経な反応のせいで、最新の世論調査はクリントンの圧倒的なリードを明らかにしている。しかしながら、昨年の状況が我々に何かを教えているとすれば、それは”トランプを早々と見限るのは誤り”ということだ。

はっきりさせておくが、私はトランプ・サポーターではない。この論説のポイントは、トランプの勝利がアメリカに好都合たり得る、と主張することではなく、むしろそれにより日本にとって好ましい幾つかの副作用が見込めるということだ。クリントンへの投票は、様々な意味で、現状維持への投票だ。もしあなたがバラク・オバマ下での諸々の成り行きを好み、同様の状態をを更にと望むのであれば、彼女はあなたの候補者だ。このような投票は、疑いなく論議を招くところであろう。

対照的に、トランプは基本的に(どのカードにも代用できる)ワイルド・カードだ。ひとたび官庁に入った彼が何をするかについては実のところ誰も考えを持っておらず、多分トランプ自身でさえもそうだろう。彼の当選は、二大政党にその独自性の再評価を課するだろう。彼の支援者のうち多くの割合が、ただ単にワシントン権力体制に飽き飽きしているから、それと現状の政治をぶち壊したいからという理由で彼に勝ってほしいと望む。

そしてここに日本にとっての好機がある。トランプは本質的に日米関係のリセット・ボタンである。クリントンは日本についての新たな考えや懸念を持っていそうもない。トランプはしかしながら、貿易や外交政策についての方針をコメントし、明らかに全てを交渉可能と見る。日本とアメリカの関係がこのまま続く限り、検討の余地のないことは何一つない。

経済におけるトランプの大衆主義を一考してみてほしい。もしも彼がTPPに立ち向かい、貿易条件の再交渉に努めれば、それは日本に保護貿易主義的政策のうち幾つかの再考を強いるかもしれない。それは日本の消費者にとって恩恵につながることが考えられる。今年、シャープが台湾企業ホンハイに買収され、日本のエレクトロニクス会社として海外からの記念すべき初獲得を喫したことを思い出してほしい。

トランプの奮闘が日本産業により多くの保護貿易あるいは自由貿易のどちらをもたらすにせよ、いずれかの進路が多数の企業にわたってその法人収益と雇用を揺さぶるであろう。ディール・メーカー(交渉役)総理大臣安倍晋三の首尾いかんにより、新たな協定が慢性的な日本の経済停滞から抜け出す助けになるかもしれない。

しかしトランプの経済観は、日本変革へと続く可能性を秘めた一番の道ではない。トランプは公然と日米安全保障条約を批判する。彼は日本が核兵器を持つべきとすら提案した。トランプの「アメリカ第一」ビジョンは、日本はもっと独力でやるべきとの信念をはっきり示している。彼は日本を、アメリカの善意を利用している裕福な国と見なす。ビジネスマンとして、アメリカから幾らかの 重りを取り除いてそれを日本に戻すようなより良い契約の再交渉を望んでいる。

このことは、政治の大規模な変化へと日本を導くかもしれない。アメリカ大統領が「より自立した日本」を強硬に求める続ける最初の機会となるだろう。それは安倍と彼の政党が日本の軍事統治権を再制定する憲法改正にあたって、その牽引力を得るために必要とするほんのひと押しであるかもしれない。それはまた、安倍の対抗勢力を勇気づけ、結果的に憲法温存に力添えして終わる強力な反感をもたらすかもしれない。

言い換えると、日本は(釣りをするか餌を断つか、)去就をはっきりせねばならないようだ。アメリカが日本の保護者となるようトランプに刃向かうか、自己依存の意識を目指して共に進むか。それは戦わすに値する議論ーー低い投票率を一貫して続ける有権者たちを活気づける議論かもしれない。とりわけ若者が政治的プロセスから切り離された社会においては、このような議論は人々の関心を喚起する助けとなるだろう。

日本文化は均質的に見えるようでいて、多くの政治的社会的問題には真の区分がある。日本を再び軍国主義にするのを何をおいても食い止めたいと願う戦争反対の対立グループあり。西洋文化のアイディアーー労働者保護、男女機会均等、同性婚、人種多様性等々をもっと取り入れたいと願うグローバリストや進歩派あり。そして反対側には国粋主義者や保守派あり。後者は「日本を日本のままにしておきたい」と欲して文化を保存し、一方前者は日本が世界のステージでより大きな役割を要求するために軍事勢力を再建すべきだと信じる。最後に、どこか真ん中あたりにはすべての穏健派、無所属派、そして自由至上主義者タイプあり。彼らはあらゆる個別の問題について、広範な見解を表明する。

日本の未来がどの政治的党派にも属さないにもかかわらず、トランプ大統領(職)が着手するであろう文化的大改革はそのパワー・バランスを組み直すかもしれない。このような変革には多くの不確定性があり、日本の現状は世界中の多くの国に比べればかなり卓越している。私は「現状のままで余計なことをしないクリントン大統領(職)のほうが、きっといい選択との意見に敬意を払う。しかしながら変化を望む人々にとって、トランプは日本を改めて卓越させる格好の一助となるのではないだろうか。